基礎練習のしかた (スティックコントロール)
アンサンブル・メルヘンの基礎練習方法を紹介します。
〜 はじめに 〜
打楽器のみならず、効率よい楽器演奏の上達には、いわゆる「基礎練」といった練習が不可欠です。
先輩も先生もみな重要だと言うので、なんとなくきまったメニューを続けている人も多いかと思いますが、
この「基礎練」がなぜ重要か考えたことはあるでしょうか?
楽器を上達するための一番の方法は、楽器の練習です。
基礎練習は野球部の筋トレと同じようなもので、基礎練をいくら頑張っても楽器演奏は上達しません。
(うまい人のほとんどは、基礎もしっかりしていますが。)
基礎練習の時に重要なことは、楽器を練習する以前にできていなければならない部分を解消することで、
「この練習にはどういった意味があるのか?」といったことを理解して練習することが必要です。
基礎練習は重要ですが、必要以上の無駄な時間をかけず、効率のよい練習を心がけましょう。
基礎練習をする意味
以下、スティックコントロールの基礎練習方法について。
基礎練習の目的は大きく分けて3つです。
1 体を鍛える。
打楽器は体を結構使います。筋トレというよりも、日常生活で普段使わない神経を鍛えるイメージです。
音量やスピード、安定感などを、つまらない反復練習で鍛えます。
2 頭を鍛える。
打楽器は頭を結構使います。
打楽器の演奏において、頭で考えているイメージと実際の体の動きが異なっていることはよくあることです。
基礎練習において、頭で考えていることをそのまま体現できるような頭と体をうまく連携させる練習も必要で、自分の音を良く聞き、リズムの仕組みや役割などを考えながら練習すると効果的です。
また、必要最小限の力で最も効率のよい奏法を探すことも、頭を使う練習だと思います。
3 初見力をつける、楽譜に慣れる。
教則本を使って練習します。実質、頭を鍛えることなので、「2」と同じです。(より、頭に近いかんじです)
初見力は、どれだけ多くの曲を演奏したかではなく、一つの曲を何度も繰り返し演奏し、覚えることでつくそうです。
教則本を使って楽譜の見方や演奏方法を覚えることは、楽器の演奏においても必ず役立ちますし、同時に「2」が不十分だとできないため、自分の実力の試金石にもなります。
この3つの練習を、状況によって
テンポ160で16分音符を叩くことがつらい ⇒ 「1」速いテンポの練習が不足している。
3連符のあとの16分音符が叩けない ⇒ 「2」リズムの叩きわけができていない。
など、自分に足りない部分を重点的に鍛えると、効果的に上達できると思います。
なお、人間は忘れやすい生き物なので、今できることを忘れないようにするための定期的な基礎練習も重要です。
1 体を鍛える。
ウォーミングアップです。
とりあえず速いテンポで継続して叩きます。
初心者はテンポ100くらいから始め、自分の最速のテンポかその一つ上くらいのテンポでの16分音符を叩きます。
テンポ180〜200前後を難なく叩ければ、ほとんどの曲で困ることはないと思います。
(テンポ240程度まで楽に叩けるようになれば、演奏がかなり楽になります)
〜 注意点 〜
・ 疲れても休まない。肉体の限界に挑戦。
・ 無理な力を入れない。(腱鞘炎になります)
・ 硬いものを叩かない。(腱鞘炎になります)
2 頭を鍛える。
リズムトレーニング。基礎練習の中心です。
この練習では自分の音を良く聞き、音色も含めて正しい演奏となっているか確かめます。
なお、メトロノームは必須です。
練習時には以下の点も注意しながらやると良いです。
・ 左右での音量、音色の違い
・ テンポやリズムは安定しているか
・ 音符通りの正しい音の長さを保っているか(叩いた後の動き方で音の伸び方が変わります)
・ 演奏のフォーム、スティックのポジションや軌道(叩く前と叩いた後)
・ 脳の指令に対して自分の体がどのように動いているか
リズムトレーニング 1
4分音符〜8分音符〜3連符〜16分音符〜5連符〜6連符〜7連符〜32分音符
といったリズムを1〜8回ずつ繰り返し、上昇下降する基本的な練習。
これらの練習では1拍の間に1回〜8回叩くわけですが、例えば、
「3連符 = メトロノーム1回の間に3回たたく」
といったイメージよりも、
「3連符 = 4つの音でメトロノームの音の間隔を3等分する」
というイメージのほうが最後の音符と次の音符の間の時間を意識できるので、リズムがより正確になります。
リズムトレーニング 2(休符のシフト)
16分音符の1〜4つ目に休符をいれる練習
休符1つのパターン、休符2つのパターンを中心に。
8分音符の音の長さは16分音符の音の長さと違うことに注意です。
強弱の切り換え(アクセント移動)
16分音符の1〜4つ目にアクセントをつける練習です。
また、クレシェンド・デクレシェンドや即座に強弱を切り換える場合でもテンポが崩れないようにします。
2つ打ち練習、ドラッグ移動
2つ打ちは初心者にとって大きな壁ですが、習得すると格段にレベルアップするのでお勧めスキルです。
16分音符の1〜4つ目に2つ打ちをいれる練習や、すべて2つ打ちにするパターン(ロール)を中心に練習します。
手順は基本的に左右交互、32分音符は2つ打ちで叩きます。
3 初見力をつける。
教則本を使用して練習します。
どんな教則本でもよいですが、お勧めのものをいくつか紹介します。
小太鼓100曲集
著者:網代景介・ 岡田知之
初心者からでも使える教則本ですが、ちゃんと基礎ができてない人はけっこう苦戦すると思います。
この教則本の20番をしっかり演奏できれば、初心者卒業?
COLECTION DRUM SOLOS
著者:W.F.Ludwig
ルーディメント入門の本としてよい教則本です。
PORTRAITS lN RHYTHM
著者:Anthony J.Cirone
真っ黒な楽譜や変拍子などが満載で、非常に頭を使います。
ALL AMERICAN DRUMMER
著者:Charly Wilcoxon
音大等でもつかわれる定番の教則本。
MODERN SCHOOL FOR XYLOPHONE MARIMBA VIBRAPHONE
著者:MORRIS GOLDENBERG
マレットパーカッションの基礎練習用として1冊ほしい本です。